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採択活動一覧

大津純子心のコンサート その28

活動情報

活動ファンド 助成認定制度
申請時期 2019年 第2回
活動地域 東京都
活動ジャンル 音楽
活動者名 大津純子室内楽実行委員会
活動名 大津純子心のコンサート その28
活動名(ふりがな) おおつじゅんここころのこんさーとそのにじゅうはち
実施時期 2019年 6月 3日 ~ 2019年 12月 6日
会場 実施場所:代官山ヒルサイドプラザ(ヒルサイドテラス内)
所在地 :東京都渋谷区猿楽町29−10

活動完了報告

音楽は様々な文化・芸術・人びとの営みと直結する創作活動であり、「社会との接点」にこそ その存在意味があることを聴衆の皆さまに認識して頂くことが当企画の第一の目標である。お客様には<心のコンサート>の命名通り、心に深く残る内容の提供と新鮮な興味をクラシック音楽に見出して頂くことを願って毎回心をこめた演奏会づくりに取り組んできている。
今回は大津純子の友人であり、アメリカにおける長年の演奏パートナーでもあるピアニスト、コレット・ヴァレンタインを迎えて『音の詩人たち〜the Magical World of Tone Poets』というタイトルで、色彩的感性溢れる作曲家たちの作品を取り上げた。コレット・ヴァレンタインは米国テキサス大学オースティン校バトラー音楽院コラボレーティブ・ピアノ科主任・准教授として、また、演奏家として様々なジャンルの音楽家たちとの共演も数多い。指導者としての知的な研鑽と、豊かな演奏体験を基盤にした柔軟なアンサンブル・テクニックには定評があり、共演者を立てながらも自身の音楽性を存分に発揮できるピアニストである。来日してから5日間という限られた時間ではあったが、R.シュトラウスの歌曲とヴァイオリン・ソナタに始まり、オリヴィエ・メシアン、武満徹、R.シューマン、グラズノフといった幅広いレパートリーの、個々の特質を捉えた音楽作りに取り組むことが出来た。密度高いリハーサルは楽しく、有意義な時間となった。また、「大津純子室内楽実行委員会」実行委員長であるヒノキ新薬株式会社取締役社長、阿部武彦氏のご厚意とご支援により、コレット・ヴァレンタインの宿泊所とリハーサル会場を無料提供して頂き、多大なお力添えに心より感謝申し上げる。
今回はかなり変化のあるプログラム曲目であったが、色彩豊かな ”ポエトリー” ともいえるラインアップは大好評であった。また、ゲストの岡ノ谷 一夫先生による『小鳥から学ぶ言葉の起源』と題した講演では、「歌の学習」「リズムをとって踊る」といった能力は生きものの中で小鳥と人間しか持ち合わせていない という意外な事実に驚かされ、自然界の不思議に目を見張るような思いがした。鳥はオスのみが歌を歌い、子どもたちが父親の歌を聴き、コピーしながら歌唱法を学んでいくこと。父親がいなかったり、下手な歌しかさえずることの出来ない親鳥の子どもは学習が出来ず、美しい“歌声”を取得出来ないため、メス鳥にモテない。歌を歌うことはコミュニケーションをとるため、そして「求愛」の術であり、生きる術でもある。人間の言葉の源も鳥の歌声にあり・・・と、スクリーン上の資料を用いたユーモア溢れる話にお客様たちは大喜びされ、質疑応答でも活発な質問が続いた。オリヴィエ・メシアンは敬虔なカトリック信者で、”音楽に於ける人間性の回復”を常に念頭に作曲していた。音を聴くと色彩などを感じるシナスタジア(共感覚)の持ち主だったといわれており、また、鳥類学者として世界中の鳥の声を採譜した『鳥のカタログ』などの作品を発表している。岡ノ谷先生の研究を通して、何故オリヴィエ・メシアンが あれほどにまで "鳥の歌声” に高い関心を示していたのか、少しばかり納得できたような思いがする。

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