活動ファンド | SOMPOアート・ファンド |
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申請時期 | 第5回 |
活動地域 | 福島県 |
活動ジャンル | 美術、生活芸術 |
活動者名 | あいづまちなかアートプロジェクト実行委員会 |
活動名 | あいづまちなかアートプロジェクト2020 |
活動名(ふりがな) | あいづまちなかあーとぷろじぇくと |
実施時期 | 2020年 4月 1日 ~ 2021年 1月 15日 |
会場 |
実施場所:会津若松市内各所の歴史的建造物、蔵、公共施設など 所在地 :会津若松市内各所の歴史的建造物、蔵、公共施設など |
(1)活動概況
本プロジェクトは地域が誇る文化資源である「漆」をテーマとした「会津・漆の芸術祭」と、福島・会津ゆかりの芸術文化をテーマとした「まちなかピナコテカ」の2つを柱としたアートプロジェクトです。まちなかの歴史的建造物や蔵、公共施設などを展示会場として活用し、2013年から毎年10月の1ヶ月間開催しています。今年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により開催が危ぶまれましたが、全国の漆芸大学の学生や教員、地元作家、関係者等の協力を得て事業を実施することができました。
2020年10月3日から11月3日までをまちなかでの展示期間とし、新型コロナウイルス対策を十分に取ることができる会場に限定し、7会場で展示会を開催しました。展示期間以外にも「漆」や地元芸術家等と連携したプレ企画、アフター企画を開催しました。
①会津・漆の芸術祭
・「うるし その可能性と未来」:全国の漆芸大学11校の教員、学生の漆アート作品の展示
・「会津工芸新生会展」:地元会津の工芸団体による作品展示
・「会津漆器協同組合青年部作品展」:会津漆器の野点茶道具の制作プロジェクトの実施と作品の展示
・「漆出前講座」(プレ企画):市内小中学校での漆に関する出前講座の実施
・「まなべこツアー」:会津漆器協同組合青年部による小学生への作品解説
②まちなかピナコテカ
・「新しいAIZUの美術展」:福島・会津ゆかりの作家による作品展示
・「U-18の作品展」:市内高校生の作品展示
・「髙橋克幸作品展」:地元の画家 高橋克幸氏の作品展示
・「市収蔵美術作品展」:市が収蔵する美術作品の展示
・「子どもたちとアーティストによる特別企画」(プレ企画):中学校美術部と髙橋克幸氏の作品制作
・「ライブペインティング映像作品」(プレ企画):映像作品「音画-おとえ-」の制作
・「黒板アートコンテスト」(アフター企画):学鳳高校美術部を講師に中学生が黒板アートに挑戦
(2)達成できたこと
今年は新型コロナウイルス感染症が流行する中、来場者への検温、手指消毒、来場者名簿の作成等を行う他、展示会場の定期的な換気や受付にパーテーションを設置するなどの感染対策を講じて、アートプロジェクトを開催することができました。一部のワークショップやイベントなどは安全面を考慮して中止としたものもありますが、可能な限り実施することができました。多くの文化イベントが中止や延期となる中、一つのモデルケースを提案できたかと思います。
(3)現状の課題
地域の文化を知ってもらうイベントとして認知度は年々高まっており、毎年楽しみに来場するリピーターも獲得していますが、PR面に課題が残るため、さらなる広報の強化と事業の発展により新規来場者の確保を図っていきたいと思います。また、事業を継続して実施するうえで、安定的な財源の確保は課題だといえます。
(4)今後の改善点
これまでのあいづまちなかアートプロジェクトは、毎年10月の1ヶ月間を中心に、まちなかのスペースを活用し、美術館のない本市において、美術作品等の鑑賞機会の提供を行ってきました。今後は事業内容の拡充、開催期間の拡大などにより、これまでの事業をより発展させられるように関係者と議論を深めていきたいと考えています。
(5)自己評価
今年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大が進む中、安全対策を取ったうえで開催し、無事に感染者を出すことがなく会期を終了したことが大きな成果だと考えています。
また、展示会場に来場できない方にもアートに親しんでもらう取り組みとして、国内屈指のバンドネオン奏者である北村聡氏と地元芸術家の髙橋克幸氏によるライブペインティングの様子を、シネマトグラファーであるリン・シン氏に映像作品として制作いただき、ホームページ等で発表することができました。同様に、会津大学短期大学部の協力を得て、漆のアート作品を展示している会場の様子を360度カメラで動画撮影し、ホームページ等を通して展示会場の雰囲気を追体験できる仕組みを構築することができ、新しい生活環境の中でもアートを楽しめるような取り組みを行えました。
来場者による会場アンケートの結果から、「満足」と「やや満足」と回答した方が全体の来場者の9割近くあり、コロナ禍で閉塞した中で一定の評価を得ることができました。
(6)SOMPOアート・ファンドの助成を受けたことによるメリット
事業実施のための安定的な財源の確保が課題としてあり、SOMPOアート・ファンドの助成を受けられたことで、事業内容を充実させることができました。また、広報物等へのロゴの掲出は、社会的な信頼性を向上させるうえでも大きく貢献いただきました。
(7)活動実施における協力機関や他の協働団体の関与について
・会津大学短期大学部 ~ 漆芸大学との連携による展示企画「うるし その可能性と未来」の実施、展示キュレーションへの協力、プレ企画「漆の出前講座」の実施等
・会津漆器協同組合 ~ 同青年部の協力により、会津漆器の野点用茶道具を制作するプロジェクトを実施、「まなべこツアー」の講師協力等
・会津若松文化振興財団 ~ 展示会「新しいAIZUの美術展」の実施
・会津工芸新生会 ~ 展示会「第56回会津工芸新生会展」の実施
・会津学鳳高等学校 ~ アフター企画「黒板アートコンテスト」への講師協力
(8)集客人数 5,985人(うちワークショップ、イベント参加者873人)
(9)媒体への露出(記事タイトル/媒体名/掲載年月日)
・「漆の歴史、道具学んだ」福島民友(2020年7月22日)
・「会津漆器の歴史を学ぶ」福島民報(2020年7月25日)
・「会津若松 10月3日から「まちなかアート」」福島民報(2020年8月27日)
・「自由な発想 絵で表現」福島民報(2020年9月7日)
・「アートの力を体感」福島民友(2020年9月10日)
・「城下町で芸術巡り アートプロジェクト開幕 若松」福島民報(2020年10月4日)
・「各所にアート作品展示 「つなぐ」テーマにイベント」福島民友(2020年10月4日)
・「きょうまでペイント展」福島民報(2020年10月15日)
・「黒板アート力強く」福島民友(2020年11月30日)
・「中学「黒板アートコンテスト」」福島民報(2020年12月2日)
・「五輪・パラ 黒板アートに」読売新聞(2020年12月10日) など
(10)新型コロナウイルスによる影響と対応、今後の課題
新型コロナウイルス感染症により、会津地域内の文化・芸術活動やイベントはその多くが中止に追い込まれました。地域内の文化・芸術活動が停滞する中、国や県のガイドラインや指導に従い、来場者への検温、手指消毒、来場者名簿の作成等を行う他、展示会場の定期的な換気や受付にパーテーションを設置するなどの感染対策を講じてプロジェクトを実施できたことは大きな成果と考えています。展示会場に来場できない方にもアートに親しんでもらう取り組みとして、ライブペインティングの映像作品や展示会場の360度動画など、ホームページ等を通して楽しめる仕組みを構築することができました。
今後も本事業の開催にあたっては新型コロナウイルス感染症対策を可能な限り実施し、地域の文化振興を図っていく予定です。換気や入場制限などが十分に実施できる会場に限定して開催していることから会場数が減少傾向にあるため、展示作品の見せ方や情報発信の方法についてはより一層の工夫が必要だと考えています。