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採択活動一覧

YIDFF「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」プロジェクト

活動情報

活動ファンド 東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド GBFund 東日本大震災
申請時期 第10回
活動地域 山形県
活動ジャンル 映像
活動者名 認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
活動名 YIDFF「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」プロジェクト
活動名(ふりがな) わいあいでぃーえふえふさんいちいちどきゅめんたりーふぃるむあーかいぶぷろじぇくと
実施時期 2014年 5月 1日 ~ 2015年 3月 31日
会場 実施場所:アーカイブ本部:山形映画祭事務局(山形市) 上映会その他:山形ドキュメンタリーライブラリー試写室(山形市)、フォーラム山形(山形市:予定)、せんだいメディアテーク(仙台市:予定) その他
所在地 :山形県山形市、宮城県仙台市

活動完了報告

(1)「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」開設

 認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭は、2014年11月、2011年の東日本大震災を主題とした記録映画を、災害・復興への人々の理解を深める資料として永続的に保存し、また今後重要となる国際的・領域横断的研究の発展に貢献するための、将来にわたっての資料提供の場となることを目指し、「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」プロジェクトを立ち上げました。
 秋のアーカイブおよび特設ウェブサイト/データベースの開設を目指し、2014年4月より準備を開始。ワーキングチームで打ち合わせを重ね、また東京の国立近代美術館フィルムセンターを訪問しアーカイブ実務のお話を伺うなど調査を行い、事業の目的・範囲、収集・保存対象物の絞り込み、データベース開設までのプロセスの確認、製作者との間に取り交わす規程・同意項目の策定を行ないました。同年7月には、映像作品の知的財産権・著作権を専門とする田村祐一弁護士(東京・虎の門)に参加規約兼同意書の監修をお願いし、最終調整を行なったのち、製作者に発送する案内資料を完成させました。9月以降、まず過去2回の映画祭(2011、2013)での上映作品、および応募作品100作品強を対象に、順次製作者に登録の案内を送付。郵便やメールでのやり取りののち、ウェブサイト/データベースをオープンした11月下旬には、海外作品を含む56作品がアーカイブに登録されました。その後も引き続き、上記応募作品以外の作品の製作者にもアプローチを続けています。(現在2015年5月末時点で登録実績66作品)。
※「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」特設ウェブサイト:yidff311docs.jp

<「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」事業内容>
 本「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」事業の拠点は山形市平久保にある山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーに設置しました。製作者・権利者の同意を得た作品について、完成版上映用素材をこのライブラリーの収蔵庫に保存する一方で、来館者はライブラリー館内に限り作品の視聴用DVDや製作・宣伝資料を閲覧することができます。また特設ウェブサイト上では、日英両言語でそれらの作品の詳細を紹介しています。プロジェクトの第一段階として、過去2回のYIDFF上映作品および応募作品を中心に、その製作者にアーカイブ参加を呼びかけました。アーカイブ開設の11月以降、海外から震災映画のリサーチにきている研究者が数人訪れ、論文や批評で取り上げるためいくつかの作品の視聴をし、監督へのインタビューなども行なっていて、利用の動きも活発化しています。今後も国内外のあらゆる関連作品に対し参加を呼びかけていく予定です。

(2)上映会・シンポジウム活動

 作品を収集・保存するだけでなく、震災作品の存在が今後も忘れられることなく見られていく機会を作るために、継続的に上映会を行い、シンポジウムなどでのアーカイブ活動報告を行なうなど社会に向け発信していくこと、そして参加者の市民の方々と話し合い、震災・復興についての理解を互いに深めていくことが、このアーカイブプロジェクトの責務と考えています。開設年度の本年26年度は以下の上映活動を行ないました。

● 金曜上映会(1) 平成26年9月26日(金) 
於)山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー 試写室(参加無料)
震災特別プログラム 『沿岸部の風景』上映、鈴尾啓太監督Q&A
観客・参加者:36名 
*11月のアーカイブ開設を前に、前回山形国際ドキュメンタリー映画祭2013の震災記録映画特集「ともにある Cinema with Us 2013」で上映した『沿岸部の風景』を上映。鈴尾啓太監督をお招きし、上映終了後、観客の皆さんとの質疑応答に参加いただきました。映画を見て、震災に限らない世界のさまざまな「被災者」の現実を想像することができた、など、参加者からの感想が積極的に寄せられ、監督・参加者双方に有意義な対話が交わされました。

● 「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」開設記念シンポジウム
「100年後、映画は震災のなにを残し、伝えられるのか?」
平成26年11月29日(土)
於)山形市上桜田 東北芸術工科大学 サクラダシネマ(参加費・資料代800円)
(1)アーカイブ登録作品『宮戸 復興の記録 2011〜2013』上映、飯塚俊男監督トーク
(2)シンポジウム「100年後、映画は震災のなにを残し、伝えられるのか?」
登壇者:開沼博(社会学者・福島大学)、高森順子(阪神大震災を記録しつづける会事務局長)、阿部マーク・ノーネス(映画研究者・ミシガン大学) 司会:小川直人
観客・参加者:51名
*東北芸工大のミニシアター「サクラダシネマ」にて、アーカイブ開設を記念したシンポジウムを開催しました。11月初め頃からマスコミ各社に取材・報道をしていただき、また宮戸の映画を上映したこともあり、仙台や東京からの参加者を含むたくさんの方が見に来られました。
「フクシマ論」で著名な開沼博氏や阪神淡路大震災の手記の収集事業を行なっておられる高森順子氏らをお招きしたパネルディスカッションでは、福島、そして神戸でのアーカイブの取り組みをご紹介いただきました。彼らのお話から、単にモノ/データを集め残すこと以上に、その集積を今後どう社会の中で生かしていくか、どう具体的な活用へと結びつけることができるかを考え続けることの重要性について、改めて教えられました。また、参加者からも発言が相次ぎ、利用者として映像アーカイブに対し何を求めるかなどが議論されました。
※日本語のみでのシンポジウムでしたが、観客内に海外の研究者も数人混じっていたため、日英同時通訳者を一人手配しました。

● 金曜上映会(2) 平成27年3月13日(金)
於)山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー 試写室(参加無料)
震災特別プログラム『ASAHIZA 人間は、どこへ行く』(2013、藤井光監督)上映
観客・参加者:31名
※(1)と同様、山形国際ドキュメンタリー映画祭2013「ともにある」上映作品より、藤井光監督の『ASAHIZA』を上映しました。残念ながらご都合が悪く監督にはお越しいただけませんでしたが、上映会に初参加の方も多く来られ、賑わいました。

(3)今後の目標・課題

今年度は当アーカイブの立ち上げ、ウェブサイトの開設、製作者やその他関係者、市民の皆様への周知を中心に取り組みました。おかげさまで開設記念シンポジウムも関心のある多くの方々にご参加いただき、またマスコミにも取り上げられ、順調なスタートを切ることができました。今後も引き続きアーカイブの保存・登録作品を充実するとともに、登録された作品が国内外問わず広く見られることができるよう、上映イベントも定期的に行なうなどして工夫を凝らしながら努力していきたいと存じます。

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