1,212カットに及ぶ大作で、戦後70年という節目の上映時期に合わせるためにかなりハードなスケジュールであった。氷川丸を所蔵する日本郵船からも細部に渡る作画チェックが何度も行われ精度の高いものとなり、鑑賞した船舶関係者からもお褒めいただいた。どんな製作者でも完成品が100点満点と納得できるものではないが、評価を得るに値する意義のある作品が出来上がったと思う。
完成後、国会議事堂内で上映会が実現し超党派の議員や関係者への披露が出来たことは喜びであった。
寄付者からは、「貴重な氷川丸の軌跡をアニメーションという技法で子どもたちに伝えることは意義深いことである」「若い人たちに観せたい。母校での上映会を実現させたい」「日本の船員が減少している。船で働く厳しさと誇りを伝え、船に興味を持ってもらいたい」など寄せられ、完成後の映画を観て「感動した。上映会を企画したい」「これからの世界情勢を考えると、多くの人に観て貰いたい映画である」など賞賛いただいた。
地元横浜の映画館では、満席で入場できない回もあり予定より1週間興行が延びたが、配給会社の動きが悪くスムーズに全国の映画館で配給がかなわなかったのは残念であった。現在、“100万人の「氷川丸ものがたり」上映を支援する会”が立ち上がり、自治体を含め各地で上映会を行っているが、今後も全国各地で上映の機会が出来るよう努力したい。
教育現場でも評価が高く、教材としての鑑賞も学校で行われている。これも更に広めていきたい。
反省点としては、「2021芸術・文化による社会創造ファンド」を活用しての支援活動が伝わりにくく、活用実績が上げられなかった。予定した助成金が受けられなかったことと製作協力券の販売努力に欠け目標額を下回ってしまった。