芸術・文化支援サイト かるふぁん! -Fund for Culture-

企業メセナ協議会の
芸術・文化への寄付に関するポータルサイト

採択活動一覧

《写真》見えるもの/見えないもの #02

本団体は、言葉によって表現を語るのではなく、また言葉に写真を寄り添わせるのでもなく、空間に展示される写真そのものから表現の可能性を探ろうとする展覧会「写真で語る」を過去6回にわたって開催してきました。各回とも写真の芸術表現としての新たな可能性を探るものとしての評価を得ました。今回の展覧会は、前回2007年に行われた「《写真》 見えるもの/見えないもの」展の後を引き継ぐ展覧会になります。写真は19世紀の発明以来、社会にとって様々な影響を与えてきました。現在は圧倒的なデジタル時代を迎え、携帯電話にもカメラが仕込まれたことによって、誰しもが日常的に写真イメージを手にするようになったといえるでしょう。しかし、あまりにも日常化したために、デジタル以前のように「写真」そのものについて思考することが少なくなり、むしろシャッターを押しさえすれば、考えずにイメージが得られる時代になったのかもしれません。本展覧会は、そのような時代にあって、再度「写真」とは?と問いかける意図を持って企画されました。
 2007年に開催された「《写真》見えるもの/見えないもの」展は、写真表現に本質的に備わる重要な両義性、つまり写真の機械的に写ってしまうイメージの超具象性と、写そうとする思念の抽象性という表裏の関係性について基本的なテーマとしました。即物的なイメージの強さとともに、写っていない部分をいかに読み解くかは現在にも通底する重要な要素です。7年が過ぎ、今回はさらなるデジタル時代の進行を受け、新たに生まれた様々な可能性とともに、現在における「写真」を再考したいと考えます。
 銀塩写真とデジタル写真には技術的な違いがありますが、その表現に差異はあるのでしょうか?現在は、材料が100%満足できるとは言えないまでも成熟した銀塩写真の技術があり、しかも円熟期を迎えつつあるデジタル技術のその両方が混在する時代といえます。このような時代にあって技術的な側面の検討から、さらには新たな融合の可能性をも探ってみたいと考えます。
 また、現代に生き制作発表するということは、社会に対する何がしかのアクチュアルな思考が下敷きになっています。今回はそれぞれ海外にベースをおきながら、日本をテーマにした作品を制作してきたアーティストの参加によって、現在の日本を鏡のように映し出し俎上に乗せる意図もあります。世界と日本、日本の中の世界、「写真」を中心に写真表現を通じて社会との関係を思考することは最も重要な意味合いととらえます。そして「《写真》見えるもの/見えないもの #02」展を開催し、幅広く深い「写真」についての思考を深める機会になることを期待します。

活動情報

活動ファンド 助成認定制度
申請時期 2014年度 第4回
活動地域 東京都
活動ジャンル 美術
活動者名 《写真》展実行委員会
活動名 《写真》見えるもの/見えないもの #02
活動名(ふりがな) しゃしんみえるものみえないものに
実施時期 2015年 7月 13日 ~ 2015年 8月 1日
会場 実施場所:東京藝術大学大学美術館 陳列館
所在地 :〒110-8714東京都台東区上野公園12番8号

活動完了報告

本展覧会は、2007年度に行われた「《写真》見えるもの/見えないもの」展を後を引き継ぐ展覧会として、企画されました。写真の表面には写らない思考の部分をいかに読み解くかをメインテーマとした前展覧会から8年が過ぎ、写真のデジタル化や様々な環境の変化において現在における「写真」を再考し、写真表現のさらなる飛躍の可能性を提示するものでした。
お越しいただいた方々から数々のご意見をいただき、本展覧会を起点として、写真界にさらなる課題が提示できたのではないかと考えます。
入場者数は、陳列館での動員記録として大変多く4151名の来場者を迎えることができました。新聞、雑誌等へ案内や展覧会評が多数掲載され、総じて話題性の高い企画となりました。
関連企画のシンポジウムなどでも多数の観客にご参加いただき、白熱した議論が交わされました。展示内容の評価としては、今後の世代への課題を指摘されつつも、全般的に好印象であり、当方としても大いに満足できる成果となりました。
継続しての企画開催を望む声も多くあり、更なる可能性を感じる次第です。

Page Top
PAGE TOP