本事業は2015年8月より2016年2月末までの約7か月間にわたって遂行された。
活動写真弁士の片岡一郎がドイツに滞在し欧州を中心に日本独自の映画・演芸文化である活動写真弁士を普及させることを目的とした活動である。公演を行った国はドイツ、オランダ、イタリア、ベルギー、フランスおよび日本の計6各国34公演に及ぶ。
参加者は事業主宰者の片岡一郎、ピアノ・作曲担当の上屋安由美、三味線の宮澤やすみ、パーカッションの田中まさよしであった。さらに現地のサポートや音楽家との共演も多数あった事も記す必要があるだろう。来場者数は大小さまざまな会場で活動したために平均を出す意味に乏しい。期間全体の集客数は役2500人である。
当会が企業メセナ協議会の認定を得て事業を行ったのは今回が初めてであるが、これまでにも欧州における普及事業は行ってきており、本懐が日欧での活動をする上での連携は着実に深い物となってきている。事業終了後の3月10~20日に渡って再度欧州に招かれ公演活動を行った事も、その証左たり得るだろう。これからの欧州の映画祭などと連携して活動の幅が広がってゆく事が十分に期待できる成果を上げる事が出来た。
助成認定制度を通じては日本映像翻訳アカデミー(JVTA)様よりご支援を頂いた。この支援は単なる資金の援助に止まらず、日本映像翻訳アカデミーという字幕翻訳のエキスパートによる字幕制作によって海外公演の成果を更に高める効果を生み出した。企業が自らの業務によって芸術団体を支援した本事業は支援・被支援の関係性としてひとつの理想形であった。企業担当者様からは、こうした事業および作品の字幕翻訳に関われる事は光栄だとのコメントを頂いた。
本会の今後の課題は二点ある。第一に現時点で形成している欧州との良好な関係を継続発展してゆく為にどのような提案を今後してゆくかの計画づくりが挙げられる。さらに第二には国内も含めたアジア圏への展開をいかにして行ってゆくかを考える必要があるという事だ。従来、無声映画や活動写真弁士の国外展開とは主に欧米を指したものであるが、今後はアジアへのアプローチが必須となるだろう。その牽引役を本会が担えれば幸甚である。
なお収支報告の補足として以下の二点をここに記す。
1:収入の部において、その他として計上した1,164,358円は申請書上で記した「会長の他の公演収入より充当」に相当する。
2:支出の部に於いてその他のとして計上した54,102円は滞在許可を得る為に必要な、現地での保険加入費用である。
当活動は日本独自の文化である活動写真弁士と生演奏による無声映画を国外へ発信するべく企画されました。
2015年8月から2016年2月までの期間中に日本はもとよりドイツ、オランダ、イタリア、スウェーデン等の欧州各国での活動を通じて文化発信及び交流をうながして参ります。
欧州では日本よりも無声映画が上映される機会が多く、知られざる日本の新たな魅力として活動写真弁士文化は受け入れられつつあります。