芸術・文化支援サイト かるふぁん! -Fund for Culture-

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活動者の声

東日本大震災復興支援上映「ともにある Cinema with Us 忘れないために」(仮題)

活動期間2013年 10月 12日 ~ 2013年 10月 14日

活動をしてみて

311という突発的な未曾有の出来事に、映画に係わるものとして何かできないかという思いから始まった緊張性の高いプロジェクトで、予算もほとんどない ところからの立ち上げとなり、助成金が大きな力となったことを実感している。この大震災に映画作家たちはどんなふうに向き合ったのか、そして報道映像には 表れてこない被災地の人々の姿と思いを、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011に集った多くの作品を通して、2,000人を超える国内外の方々に見てい ただくことができたことは、非常に有意義なことだったと考えています。また、被災地も含めた全国への巡回上映は、遠く離れた方々にも被災地のよりリアルな 現状を伝えることができたのではないかと思います。
 また、被災地の映像を、その現場である地域に伺って改めて見ていただくことについては、どのような反応をいただくことになるのか、不安な面はありました が、被災地にエールを送る作品を選んだこともあり、実際には、非常に好意的な感想や評価をいただくことが出来ました。被災した親戚や友人に見てほしいから 再上映を希望すると涙ながらにお話ししてくださった方もおられました。岩手県山田町、宮古市、宮城県塩竈市、仙台市、福島県南相馬市、福島市の方々には、 特に、上映会を開催するにあたり、大変お世話になり、映画上映というプロジェクトを仲立ちとして、今までにない繋がりをいただいたと感じています。また、 今回上映した作品の何本かは、海外の映画祭や大学にも招待され、被災地の現状と人々の思いを国外の方々に伝えることになりました。細切れの報道映像では伝 わらないものに、国外の方々に映画を通して触れていただけることは、映画を集めた者として大きな幸福であります。今回、可及的速やかに、このような助成支 援をしていただいたことに心より感謝いたします。

福島を自分史で書き残す活動

活動期間2014年 5月 20日 ~ 2014年 12月 31日

活動をしてみて

双葉町民8人のそれぞれの個性あふれる自分史を制作することができました。また、その中にはかつての双葉町の素朴な暮らしや文化、原子力発電所の建設によって町が大きく変化する様子、そして事故で非常に困難な生活を余儀なくされる双葉町の営みが、一人一人の人生の記録と共に描かれていました。制作された方々の満足度は非常に高く、記録に残すだけでなく、被災者一人一人の心の癒しや前向きな気持ちに寄与できたと思います。
ただ、期間中20冊制作を目指し取り組みを進めましたが、思った以上に自分史製作に時間がかかったため、その旨事業期間中に報告し、期間を1年3ヵ月延長させていただき、目標制作数を半分の10冊に下方修正させていただいたにもかかわらず最終的に8冊の制作に終わってしまったことが、反省すべき点でありました。

「311ドキュメンタリーフィルムアーカイブ」プロジェクト2016~3.11映像記録のこれまで、これから

活動期間2016年 6月 14日 ~ 2017年 3月 31日

活動をしてみて

震災記録映画の蒐集活動について、呼びかけを日々地道に行い、この1年で登録作品が100本に近づいてきたことは大変喜ばしい成果であると考えています。また、当アーカイブ事業で課題となっていた登録作品『DUBHOUSE 物質試行52』の上映用35ミリフィルムプリントの収蔵・保存について、プリントを新たに作成し当ライブラリーでの永年保存が可能となったことは、今年度の当事業の大きな成果の一つでした。11月の上映・ディスカッションイベントは、映画を含む芸術全体が震災復興に果たす役割を改めて考える機会となりました。ゲストより、震災の経験を伝えていく上で、芸術作品は見る者の知覚・記憶に深く結びつく表現や語りを持たなければならないというお話が出ましたが、金曜上映会での2回の震災特集上映でも、それぞれ映画のテーマやスタイルは異なるものの、感情や記憶をゆさぶる詩の力が、共通して作品の核となっていました。作中の詩の朗読で涙を流す観客の方もおられ、芸術そのものの持つ力と意味を再認識することができました。今後もこうした素晴らしい映像作品を集め、上映し、語り合う機会を持ち続けたいと考えています。
 アーカイブ事業はまだ未登録作品が200本以上残っており、制作年の若い作品の中には同意が難しいものも多く、ある程度時間を置きながら今後も継続して声かけを行なっていきたいと考えています。上映素材の保存事業においては、ビデオ・デジタル素材は現在Blu-rayでの保存が主流ですが、技術革新のスピードが速くいつまでこのディスクメディアが社会に流通しているか先行きが不透明です。そのため今後どのメディアが最も保存に適しているか継続的に情報を集め検討し、またその入手予算を確保しながら、保存用映像の適切な移設を行なっていく必要があります。
 同様のアーカイブ活動を行なっているせんだいメディアテークや国立国会図書館など他関連機関とさらに情報交換し連携を深めながら、映像を見て震災、来るべき大災害などについて話し合うことのできる場、映像記録を確実に史料として残していける場を永続的に確保していくことが当事業の使命であると改めて感じました。

「311ドキュメンタリーフィルムアーカイブ」プロジェクト2016~3.11映像記録のこれまで、これから

活動期間2016年 10月 10日 ~ 2017年 3月 31日

活動をしてみて

東日本大震災から丸6年が経とうとしている現在、被災県以外で震災関連の記事や映像が流れるのは毎年ほぼ3月だけになっています。近年熊本や鳥取での大きな地震もあり誰もが大災害の被災者になる可能性があると広く認識されているとはいえ、日々社会の中で3.11の記憶は薄らいでいるように感じられます。その中でどれくらいの方が私たちの上映企画やアーカイブ事業に関心を寄せてくださるか不安でしたが、今年度も多くの方々が上映会に参加下さいました。やはり記録映像が喚起する力、特に記憶の呼び戻しやその継承に果たす役割は大きいと実感しています。また調査を続ける中で、数は減ったとはいえいまだ関連の記録映画・ドキュメンタリーが各地で作られ続けていること、また被災地で長期にわたり粘り強く記録し続けている作家がいるという事実にも触れ、心強く感じました。今後はやはりこうした作品群の存在を広く知っていただき、上映機会をいかに高めていけるか、またこれらの作品を完全な形でいかに将来に残していけるかを、それぞれの回路で地道に考えていく必要があることを強く実感しています。今年度ご支援いただいた助成元の皆様のお力添えのもと、同様のアーカイブ活動を行なっているせんだいメディアテークや国立国会図書館など他関連機関とさらに情報交換し連携を深めながら、映像を見て震災、来るべき大災害などについて話し合うことのできる場、映像記録を確実に史料として残していける場を永続的に確保していくことが当事業の使命であると改めて感じました。

山形国際ドキュメンタリー映画祭2017 震災特集プログラム「ともにある Cinema with Us 2017」

活動期間2017年 7月 1日 ~ 2017年 10月 19日

活動をしてみて

今回の「ともにある2017」では、テレビドキュメンタリーの製作現場や、海外の映像アーカイブの取り組み紹介といった、これまでより視野の広いプログラムを組むことができた。これは本プログラムのコーディネーターである小川直人氏、藤岡朝子氏お二人が日頃の活動の中で培った知見と人脈の賜物であり、また、このSOMPOアート・ファンドによる多額の助成があって初めて実現したプログラムである。心から感謝申し上げたい。
 本プログラムはこの先も継続することを目指しているが、各所からのご支援を得ながら、何とか今回のような質の高い上映・ディスカッションプログラムを維持し、震災復興における映像の果たす役割を最大限開拓していきたい。当映画祭の使命の一つに、ドキュメンタリー映画を通して世界のさまざまな苦境にある人々の姿を参加者と共有することにあるが、大震災という歴史的惨事を語り伝えるために、忘却に抗う機会を作り、新たな映画製作を支援する仕組みを、引き続き地道に考えていきたいと考えている。

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