COVID-19の影響でドイツ国内のフリーランススタッフが激減し、個単価があがったため、劇場以外の演目における外注スタッフ人件費がかなりの割合を占めた。当然、渡航費や資材費等も世界的に値上がりした。結果、全体支出の中で人件費が通常より多くの割合を占めることとなり、フェスティバルの要であるクリエーション作品の数を減らさざるを得なくなったのは残念であったが、今までこのエリアで行ったどの演劇祭よりもプレス掲載数が多く、記事の内容もほぼ好意的なものばかりで、対外的に大成功だったと言っても過言ではない。
コロナ禍による3年間に亘る公演中止がもたらした”空白の時間”の影響は簡単には拭い切れないとの思いが強い。特に集客に関する影響は大きく、シリーズ再開以来徐々に出席者数は上向いてきてはいるものの、未だ開催者側、出席者側双方に慎重さが存在しているのは否定できない。ただ、一年に2回(春・秋の開催)にしかお目にかかれないにも拘らず、続けてご出席くださる常連のお客様たちの当シリーズに向ける温かい思い入れのお心に励まされ、後押しして頂いている。終演後、お客様たちとお話しすることができたが、若い年代の聴衆も少しずつではあるが増えて来ており、”素晴らしいコンサートで凄く楽しめました。又伺います”との言葉に勇気づけられた。“今の不穏な時代、セレクトして下さった曲目の数々に心が浄化されるようでした。大津純子さんの心配りを感じます” ”心に響いてくる美しいメロディーに聴き入り時間が経つのを忘れた・・・” ”お話や演奏から伝わってくる大津さんのチャーミングなお人柄に魅了された” などなど、頂いた感想の数々を噛み締めながら、改めて音楽の持つ「包容力」の大きさに感じ入っている。今後のプログラミングに役立てていきたい。
<心のコンサート その29>より始めた、日曜日午後3時半の開演時間は総体的に好評である。終演後の明るい時間帯に帰宅できること、また、演奏の余韻を楽しみながら友人たちと代官山ヒルサイド近辺を散策したり、近隣レストランにて早めの夕食を楽しむ事ができる・・・といった好意的なフィードバックを頂いている。
「心のコンサートシリーズ」開始当初より長い年月に亘りスタッフとして協力・尽力してくれている友人たち全員が心ひとつに開催準備に邁進してくれたことが今回の成功の何よりの大きな力となった。関係者一同に心より感謝を捧げたい。
・コロナ禍後に多くの公演が軽井沢大賀ホールにて開催されており、競合したことは否めないが、今回は思うように寄付や助成金が集まらず、広告宣伝費等を大幅に削らざる得なかった。・集客のため、軽井沢町町制施行100周年記念事業に協賛として参画させていただき、「広報かるいざわ」にて無料で町民ご招待を募り動員を図った。・遠隔地開催は交通費等もかさむため都内公演より状況は厳しいが、響きの良い素晴らしいホールで演奏・収録ができ、内容的には出演者一同大変満足のいくエンターテインメントができたと自負している。・このような機会を授与してくださった助成や後援各位はじめホール関係者、手弁当のスタッフの皆様にも感謝申し上げます。
私たちは、この取り組みを文化・芸術に関わる人への還元やより良い環境を整備していく活動の一環として実施いたしました。
初めて、助成認定制度を活用した取り組みであり、満足のいく寄付結果とはなりませんでしたが、今後の活動方針、戦略のとてもいい経験を積むことができました。
活動者として、アーティストの皆様からは大きな感謝の意を示していただき、我々の活動自体の意義とその必要性を感じさせて頂ける機会となりました。
今後についても、現段階で企画中のプロジェクトが幾つかあります。
助成認定制度を活用して、文化芸術活動、並びにアーティストの皆様がより大きく、心地よく活動をできる様支援して参りたいと思っております。
活動をしてみて
ACCの日米芸術交流プログラムでは、これまで米国と日本との間の渡航を中心に支援してきましたが、2019年度の助成においては、個人フェローでは、日本から渡航した5名のうち3名が米国であった他、1名が香港、1名が台湾、米国から日本へは4名、団体助成では、日本からインドネシアへの渡航を実施した団体1件、そして中国と日本の間の渡航を実施した団体1件と、アジア間の渡航の割合が増加いたしました。新型コロナによる渡航制限の影響で、渡航延期や中断を余儀なくされたフェローたちも辛抱強く機会を待ち、無事にプログラムを完了させられたことは何よりでした。
台湾へ渡航した杉原信幸氏はアジア間のフェローシップでは最長となる6か月(実際はコロナの影響で滞在延長となり約8か月)に及ぶのリサーチ活動を支援することとなりました。その後もインドネシア、マレーシア、カナダと先住民のリサーチを続けることで、先住民が常に祖先と繋がる表現を行っていることに気づき、祖先との繋がりとは何かということを、自らのルーツとしての海の道、縄文文化を辿りながら、船、山、器、面などをテーマに様々な土地の文化を学びながら制作と考察を続け、創作活動を行っています。
ニューヨーク・フェローシップの北條知子氏は2022年1月にようやく渡米できました。若い世代の地元のサウンド・アーティスト以外にも、NYを拠点に活動する日本人アーティストやキュレーターとの出会いがネットワークを広げ、新たなプロジェクトへとつながることとなりました。通常のレジデンスプログラムでは、アーティストは限られた時間の中で滞在の最後にプレゼンテーションをしなければならず、そのため、アイデアが制限され、十分に実験する時間がとれないこともありますが、ACCのフェローシップは、作品制作を条件としていないため、「そのようなストレスから解放され、私ができる限り探求し、実験する機会を与えてくれました。」と北條氏は語っています。この点がまさにACCのフェローシップのユニークな点で、結果的に新しい創作やプロジェクトに発展していく一助となることはありますが、プログラムの主目的はあくまで「人生を変えうる異文化体験の提供」によってグローバルな視点と言語を持つ人材を育成することです。
ダンス・アーティストのジェイスン・ハワードは、2020年にダンスボックスのプログラム・ディレクターである横堀文氏(ACC2008)の招聘により、主に神戸のダンスボックスでフェローシップを開始しましたが、新型コロナ流行のため中断し、帰国を余儀なくされました。2023年5月に再度来日し、プログラムを再開。東京や京都で開催されたダンスフェスティバルで公演を鑑賞したり、城崎国際アートセンターでレジデンスプログラムについて学び、舞踏ワークショップを見学した他、ダンスボックスでは、トーゴ人ダンサーのアラン・シナンジャ、日本人ダンサーの十川大樹とレジデンスを行い、これが新長田のコミュニティ・フェスティバル "Festival for All "でのワーク・イン・プログレス上演に結実しました。さらに、ジェイスン・ハワードはダンスボックスでプロジェクトを立ち上げ、2025年に本公演の初演を行う予定です。
一方、短期間の滞在であっても、それは「人生を変える」ような経験につながっています。人形劇と創作劇のアーティストであるマルガリータ・ブラッシュは、フェローシップ期間中、京都芸術センターでの日本舞踊と小鼓を中心とした3週間の伝統演劇研修をはじめとして、大阪での吉田美津香氏による乙女文楽のマンツーマン・ワークショップ、東京でのPUK人形劇団の稽古と公演、 飯田人形劇フェスティバル(長野)、交流西川劇団公演、車人形ワークショップ、国立文楽劇場、坂東玉三郎歌舞伎座公演など多くの公演、フェスティバル、ワークショップに参加しました。「日本への旅は、間違いなく人生を変えるものでした。日本文化を体験することは、それについて本を読んだり調べたりすることとはまったく違うだろうと想像していました。これは、とてもとても真実で、私の期待以上のものでした。日本文化はとても複雑で、洗練されており、ニュアンスや矛盾に満ちている。演劇人としての仕事や人生に生かせるような経験やアイデアをたくさん得ることができました。」とブラッシュはこうコメントしています。
新型コロナの流行による差別や社会の分断などが鮮明となり、各地で再び戦争が起こる情勢下において、今ほど異文化交流や対話が必要とされる時期はありません。ACCの助成により、こうした経験を積んだアーティスト達が今後も活動を継続、発展していくことが、調和のとれた平和な社会の創造に寄与すると信じております。
ACC東京オフィスは、運営主体がニューヨーク本部から2019年11月に新たに設立された「一般財団法人アジアン・カルチュラル・カウンシル日本財団」へ引き継がれました。今後もACCで行ってきたアーティストや研究者、アートの専門家に国際文化交流の機会を提供する事業を継続していくとともに、国際文化交流の重要性を人々によびかける活動にもさらに重点を置いて続けていく所存です。